おもいで

お元気ですか。
私は相変わらず、元気にやっています。あの時と変わったことといえば、少し、おとなしくなったくらいかな。
あなたがまだ近くにいた時は、私はホントにおてんばで、男の子のように飛び回っていたもんね。懐かしいな。
お世辞にもたくましいとは言えない、細くて色素の薄いあなたに、私はあの頃、惹かれていました。
気付いていた?もし気付かれていたなら、少し恥ずかしいな。
でもあの頃を思い出すと、らしくないくらいに、やっぱり、積極的だったかな。今更気付いたんだけどね。
あなたとずっと一緒にいたくて、毎朝あなたを待って、さも偶然会ったかのように「おはよう」なんて。
他の女の子と楽しく話していたりするのを見ると、何故か嫌な気分になって、でもすぐに私のところに来てくれるあなたを見て、馬鹿みたいに嬉しくなって。
その頃はこの感情がなんなのかはわかっていなかったけど、何年か経って、ああ、初恋だったなって、気付きました。
私はいつでも気付くのが遅いね。あなたがいなくなってから、寂しさを覚えたの。
身体が弱いあなただから、体調が良くなくて会うことが出来ないのかな。次会えるのはいつなのかな。なんでなにも教えてくれないのかな。
今でもたまに、そんなことを思います。もうこれは恋ではなくて、思い出の一部になってしまっているけど。
あなたは蝶のように美しかったよ。綺麗な声だったよ。白い肌で、澄んだ心だったよ。
あなたともう一度だけ会うことが出来るまでは、ずっと心に引っかかっているんだろう。

まだ、生きていますか?