いつも

「気持ちいいよ」

君は一体何人の男に同じ言葉を吐いてきたのだろうね。そう問うと僕の下に転がっている彼女は二重を滲ませながら 私でもわからない、と唇を歪ませて言う。とうもろこしのように並んだ歯の間からこぼれる喘ぎ声に溶けて生々しい室内温度。実を食べるように彼女の口を塞ぐ。甘いと思ったのは恐らく錯覚だろうけれど。

「一番よかったセックス、教えてよ」

螺子をしめるようにゆっくりと抜き差しすると彼女は眼を開けて僕を見た。ええと、

「高校の、頃かな」

鏡の前でね。身体中縛られて。後ろからされたんだけど。写真に撮られててさァ。あはは。
セックスをするときの彼女の顔は無邪気で愛しい。ほつれるように笑うから追いかけなくてはいけないと思う。他の男を思い出している彼女の顔が愛しい。僕を見ていない、僕を感じていない、僕だけが彼女を享受できる瞬間。生温かい膣内は羊水のように落ち着いてしまう。安堵を求めて奥へ逃げ込むと彼女は妙に顔をしかめた。血。じわり。下腹部に広がる安堵と時間差で届く鉄の香り。

「中で出したい?」

僕の白と彼女の赤が混じり合うとどれほど鮮やかになるのか見てみたかったんだ。水音はいつもより大きく鳴る。ドロドロとして気持ち悪い。僕は、彼女の瞳の奥にいる僕を見つめて果てた。

「私のことを嫌いなあなたがすきだよ」

これ、この言葉、初めて言った。君だけ。